「繊細な人」「敏感な人」(HSP)と就労について*チャレジョブセンター浦和

こんにちは。チャレジョブセンター浦和、施設長の金井塚です。
本日は最近WEBや書籍でも話題となっている「HSP」についての取り上げたいと思います。
「HSP」とは“ハイリー・センシティブ・パーソン”の略で、「とても敏感な人」とも訳される、アメリカの心理学者 エイレン・N・アーロン博士が1996年の著書『The Highly Sensitive Person』で提唱した概念であり、DOESと呼ばれる4つの特徴すべてを持ち合わせた人と定義されています。
 
【DOES】
D(Depth of Processing):深く処理する(深く考える)
例)ささいな手がかりで物事の真理に気がつきやすい
O(Overstimulation):刺激を過剰に受けやすい  
例)騒がしい環境が苦手
E(Emotional Reactivity/Empathy):感情豊か/共感力が高い  
例)それぞれの許容の限界を目撃するととても辛い気持ちになる (自分に関わりが無くても争いが起こりそうな場面でそわそわしてしまう。)
S(Sensing the Subtle):細かいことを感じ取りやすい  
例)環境の変化や匂い、音・声などに気がつきやすく、反応してしまう  
 
私が以前小売業で働いていた店に、とても繊細な従業員(Aさん)がいました。そのAさんは、面談で「従業員同士の私語がお客様からのクレームにつながるのでは無いかとハラハラする」と伝えてきました。また、別の日には野菜の内側の傷みを臭いで伝えてくることもありました。実際に袋を開けてみるとその商品は本当に傷んでいました。Aさんは「ほうれん草から抹茶のような臭いが出ている」と言い、私にもそれが分かったのですが、他の人には全く分からず、その場に居た従業員の中でAさんと私だけがそれを区別できるという経験をしました。(前述のアーロン博士の著書によれば、HSPの方は人口の約20%いらっしゃるとのこと。)
この当時はHSPという概念も知りませんでしたので、偶然に嗅覚が優れているだけなのだと思いましたが、これは自分の中でとても印象的な出来事でした。
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さて、それから数年が経ち、今の職に就いた時にメンバーさん数名から仕事を辞めたきっかけとして「職場の人同士の言い争いが辛くて辞めた」「なんとなくそうかな?と思った事を予知して伝えたところ、上司には取り合ってもらえなかったが、数日後に予想通りになって悔しい思いをした」などの相談を受けることがあり、知識を求めて、何気なく書店で手に取った『敏感すぎる自分を好きになれる本』という長沼睦雄先生(HSPの臨床医)の書かれた著書で「HSP」について知ることができました。
 
読み進めるうちに、その相談してきたメンバーさんへのアドバイスとして、とても参考になった事はもちろん、Aさんとの出来事や自分の他の経験にも似ている部分を発見して、同じ事を思う人が他にもいるのだと知り、とても気持ちが楽になった記憶があります。
 
この記事を読んで下さっている皆さまの中にもそういった経験されてきた方がいらっしゃるのではないでしょうか。自分も含めた「HSP」の方が働きやすい環境とはどのようなものなのか?これは職場環境や自身がどの程度自分の特性を理解できているかによっても対策は変わってくるように思います。
当センターでは近日中に、同じような悩みを持った方々の就労に関する情報の共有やご相談の受付とともに職場での過ごし方やおすすめの本を共有したいと考えています。ご興味のある方は、当センターのお問い合わせフォームやお電話にてご連絡をいただければ幸いです。
 
※この文の中でのHSPに関する記述は、以下にご紹介する参考文献を金井塚が読んでの解釈やエピソードになります。正確な知識を必要とされる方は、ぜひ参考文献をお読みいただければと思います。
参考文献・出典 長沼睦雄著『敏感すぎる自分を好きになれる本』(青春出版社),2016年 エイロン・N・アーロン著 冨田香里訳『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』(SBクリエイティブ),2000年 一般社団法人日本産業カウンセラー協会『産業カウンセリング』2020年6月号

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