脳の時間刻み(クロック数)は増やせるか?(なぜ大人になると時間が過ぎるのが早く感じるのか?⏱その8)

みなさんこんにちは。チャレジョブセンター桶川です。
 
昨日から、蒸し暑いなあと感じています。いかがお過ごしでしょうか?
 
さて、今回は、「なぜ大人になると時間が過ぎるのが早く感じるのか?⏱その8」として、脳の時間刻み(クロック数)のお話しです。
 
例えば急に転びそうになるなど、危ない!と感じた瞬間といった極端な緊張状態では、時間が間延びして感じたり、周囲がスローモーションに見えたりする、という現象があります。
 
この現象には名前が付けられていて、「タキサイキア現象」と言います。
 
脳科学者の茂木健一郎さんはこの現象を「脳のクロック数(脳の時間の刻み)が増える」という言い方をされていました。
通常より脳の処理が速くなり、脳が「ターボモード」に入る、というイメージのようです。
 
この現象を意図的に利用できたら、同じ1時間や1日を長く使える(感じがする)でしょうか?
 
私の好きなマンガに、『はじめの一歩』というボクシングのマンガがあります。
その登場人物に、板垣君というキャラクターがいます。
 
厳密には「タキサイキア現象」とは趣が異なるかもしれませんが、彼が試合中に集中すると、背景が暗くなり、「キイイーン」という効果音がなります。
(マンガ上の表現ですが。)
すると、相手のパンチや動きがスローモーションになって、1センチやミリ単位で動けるようになる、というシーンがあります。
 
猫
なお、「タキサイキア現象」は、実証実験も行われています。
 
一つは、2007年、アメリカのデビット・イーグルマン教授(現在は、スタンフォード大学教授)が、ベイラ医科大学で行った実験です。
 
彼は、自分自身と他のボランティアに「知覚クロノメーター」という小さな電子機器を装着をつけて、高さ約45メートルの塔からのバンジージャンプを行って実験しました。
 
 
 
結果、緊張状態によって、実際の時間分解能力が向上したかについては、残念ながら否定的に結論づけています。彼はむしろ「記憶(のギア)」が変化している、と述べました。
(※1)
その結果、記憶内容が豊富となり、心理的な時間の長さを伸ばせたように、スローモーションに感じさせる、という結論だったようです。
 
また、以前のブログでもご紹介した千葉大学文学部認知心理学研究室の一川誠教授も、2016年に実験検証を行っています。
こちらでは、強い感情が視覚の“時間精度” を上昇させるという、一見するとイーグルマン教授とは反対のようにも感じられる結論を導き出していました。
(※2)
 
私も、3~4年前までボクシングを習っていました。
前述の『はじめの一歩』に出てくる板垣君のようには全然動けないのですが、集中した練習で相手のパンチが飛んでくると、そういった「スローモーションに感じる感覚」は確かにあったように感じます。
 
また、3分1ラウンドごとの練習、特に打ち合うような集中した練習(スパーリング)の3分は、普段の3分とは全然違う、とても長いものに感じました。
 
夕方に仕事が終わってからジムに行くことが多かったのですが、そのモードのまま翌日に出勤すると、周囲の人々がすごくゆっくりと動いているようにも感じました。
 
ただ、このモードでいることは、周りにも迷惑なように感じました。
 
相手のまばたきや目線の動き一つに反応したり、相手が話している際の呼吸に割り込んで、自分が話をしたくなったりしてしまいます。
 
 
とはいえ、このあたりは、特に「集中」という面では、速読法などにも通じるものがあるように感じています。
 
集中が肝という部分としては、この「タキサイキア現象」は普段の生活にも応用できる面はあるかな、と考えています。
 
それでは今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
 
(※1)
2007年  PLOS ONE 誌への掲載論文
“Does time really slow down during a frightening event?”
(「怖い出来事が起こっている間、本当に時間はゆっくりになるのか?」)
 
(※2)
2016年5月24日 11時03分 PR TIMESへのプレスリリース・ニュースリリース配信
千葉大学、強い感情が視覚の“時間精度” を上昇させることを世界で初めて確認
『「危ない!」の瞬間、全てがスローモーションで見える』は正しかった!
 
 
(参考書籍)
『大人になると、なぜ1年が短くなるのか?』
(一川誠・池上彰 著 宝島社)
 
『限りある時間の使い方』
(オリバー・バークマン 著・ 高橋璃子 翻訳・かんき出版 )
 
『仕事の量も期日も変えられないけど、体感時間は変えられる』
(一川誠 著  青春出版社)
 
『大人の時間はなぜ短いのか』
(一川誠 著 集英社新書)
 
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